劇団ゲキハロ第4回公演「携帯小説家」10/26千穐楽

朝昼両公演参加してきました。
私はちょうど一週間前の10/19に2回観ているので計4回観たことになります。


全16公演、公演を重ねてるだけにやはりラストが最高の出来だったと思います。
ちなみに千穐楽ならではのものとしては公演終了後・・・歌に入る前に
出演者全員のあいさつがあったこと、でしょうか。これは朝夕ともありました。
舞美さんが朝公演から泣きモードだったのにはちょっと驚いた。
そしてラスト公演では共演の俳優さんたちが℃-uteメンバーを紹介するときに
小さい花束を渡すという演出、ここで梅さんが大爆裂泣きモードw
愛理ちゃんにいたっては本当にこの舞台が楽しかったみたいで最後に・・・



州´T v T )「・・・みんなダイスキ!!」


ここで会場大盛り上がり・・・でしたが個人的には少し複雑でした。
なんだみんなかよ、私だけじゃないのかと(素爆。
またラストは舞美さんですが紹介をしたあいざわ元気さんが
「尊敬する矢島舞美さん。」と言ってくれたのが嬉しかった。
ラスト公演では比較的涙抑え目の舞美さんでしたがこれで涙腺決壊・・・。
後半では℃-uteメンバーの出番が少ないだのなんだのとありましたが
でもやっぱり彼女たちはこの舞台に一生懸命取り組んでいて
そしていっぱい得られるものもあったでしょう。


彼女たちの涙を見られただけでも参加した価値がありました。
そしてやっぱり私は愛理ちゃん、そして℃-uteのことが大好きなんだと。
神公演・・・とまではいきませんでしたがとてもいいものを見せてもらえました。
なお予想されていた新曲披露はナシで少し残念。
でもあの雰囲気ではちょっとできない、というかなくて正解だったと思います。


・・・ということで(?)
ここからは少し踏み込んだ考察・・・というほどのものではないですけど(w、
完全ネタばれ全開でいきますのでDVD待ちの人は取り扱い注意ということで
いちおう隠しておきます。あ、チョー長いからそれについても注意ということでw




後半に出てくる古豪の小説家、吉原健三郎あいざわ元気さん)は
携帯小説、そしてネット社会を毛嫌いしてます。
その理由は・・・色々言ってたんだけどw・・・結論としては
「無責任な言葉が安易に発信されてしまうことに危機感を感じる」ということかと。
携帯小説には責任もその危機感もない、と。


夢野美鈴(℃-uteメンバー)にはその自覚がない。
便利じゃん、結局は使う人の問題でしょと言い返す。


でもある意味前半のドタバタコメディーはその証明とも言えます。
締切りが迫ってるのに仕上げることよりもとにかく遊びまくるメンバーたち。
で、結局何にも決まらず薄いパイプをたどってアドバイスをもらいに行く。
そんな携帯小説家たちに吉原は言い放つ。「アドバイスは・・・人に頼らないこと」。


彼女たちはいま携帯小説を書いてるけど
でも将来小説家になりたいってわけじゃない。
唯一清香(舞美さん)は小説家になりたいという気持ちもないではないけど
「まだ将来のことはわからない」というレベルで必死さがあるわけじゃない。
他のメンバーは気晴らしだったり、妄想の延長だったり、現実逃避だったり。
自己表現ではあるけれどそこにたまたまあったラクな手段を使っただけ。


「涙を流した数だけ、苦しんだだけ、読んだ人に幸せを与えることができる。
 それを人は才能と呼ぶ。僕はそんな小説家でありたい。」


吉原の信念に比べると7人の携帯小説家のそれははあまりに軽すぎる。
「私(小説家)がプロ野球選手だとすれば、
 あなたたち(携帯小説家)はテレビゲームの野球をやってるようなもの。
 私があなたたちにアドバイスすることなんてない。」


吉原に対してなんだよそれふざけんなと言い返す彼女たちだけど
秋吉(岡井ちゃん)のミクシの一件でそれを自ら証明してしまう。
自分が発信するものに対する責任感の欠如。
でも吉原は「あなたが悪いんじゃない。そういう世界なのよ」。


本当はアドバイスなんて全くする気がなかった吉原だけど
吉原にあこがれて小説を書いてみたいと思ったと告白する清香に対して
最後の最後にこういう言葉をかけます。


「あなたが心に抱いたものを、正確に言葉にする方法を見つけなさい。
 どんなに時間がかかっても、簡単な言葉で逃げちゃ駄目。
 自分だけの言葉を見つけなさい。それが私からのアドバイスよ」。


ネット社会の闇が嫌いで人里はなれたところでひっそり暮らしていた吉原だけど
この事件をきっかけに自分自身も逃げないことを決意する。
そして登場人物たちはそれぞれ自分だけの道を探して歩み始めた・・・。
正直舞台で見た時はバッドエンディングみたいな印象だったけど
よく考えると「むしろここからが始まり」であった、ということも理解できます。



この吉原のネット社会に対する毛嫌いぶりはちょっと引いたけど
「安易なものが簡単に蔓延することに対する危機感」ってのは少しわかります。
私自身に置き換えると例えばこんなのがあります。


任天堂Wii専用ゲーム「Wii Music
http://www.nintendo.co.jp/wii/r64j/index.html


要は誰でも簡単に楽器が演奏できます、合奏できます、
オーケストラの指揮者になれます。というソフト。
コントローラーだけで60種類(!)の楽器を演奏できるらしい。
実は個人的に久々に欲しいと思ったソフトのひとつだったりするww


楽器を演奏する楽しさ、合奏(アンサンブル)する楽しさってのは
確かに存在するので別にこのソフトを否定するものではありません。
ただ私はこの中のいくつかの楽器・・・もちろん本物・・・を
ある程度のレベルで演奏できるんですけど
楽器の演奏ってそんなに生易しいもんじゃないんですよね。
物によってはまず音をひとつ出すだけでもタイヘンだし、
そこそこ演奏できるようになるのに数年かかるものも。
それにヤラシイけどいい音を出すためにはそれなりの投資も必要。


でもだからこそ生まれる表現、伝えられるもの・・・があるわけで、
もちろん個人で楽しむぶんには何も問題はないけれど
やはりこのソフトは所詮音楽のマネゴトにすぎない、と思います。
もしこのソフトを使って演奏したCDがバカ売れしたり
またその演奏者が私に「どうやったらうまく演奏できますかね?」
って訊いてきたら・・・踏んづけてやりたくなるなwww



あと考えさせられたのは夢野美鈴の発掘者、担当で
スパーク出版の編集者である岸さん(眞賀里知乃さん)の話かな。
何人かの登場人物が彼女に対して
携帯小説って本当に面白いと思ってるのか?」と問いかけてますが
それに対して結局明確な答えを出してなかったりします。

もしかしたら彼女自身も本当は・・・。
特に吉原は「そこまでしてクオリティーの低いもので金儲けしたいのか!」
と罵りますが、彼女はこう答えました。


「じゃあクオリティーは誰が決めるんですか?
 私たち出版社の人間?それとも先生のような権威のある先輩の方々ですか?」

「私は・・・出版社の人間として
 読みたいと思っている人に届けたいと思って作っています。」


送り手としてはこれもまた真実、だと思います。
以前の日記で「この劇のクオリティーは高いのかもしれないけれど
℃-uteファンがわざわざ足を運んでまで観たいと思うものかどうか?」
という話をしました。
℃-uteファンとすればぶっちゃけ劇の中身が濃かろうが薄かろうが
とにかくメンバーがめいいっぱい動いてしゃべってるほうが断然楽しいわけで、

今回の場合、特に後半は「なんだよこれ!」という話が出てきても当然です。
そのあたりのバランスをどう取るのか・・・難しいところです。


あ、確認しておきますけど℃-uteメンバーはもちろん「プロ」ですよ。
この舞台もそうだし、普段のライブもあれだけのものを作るのに
いったいどれだけの努力をしてるんだって。だからこそ惹かれるわけで。